本章で述べたように、大学の偏差値を決める大きな要因として立地は無視出来ない。特に近年は、東京一極集中が続いておりこの傾向はますます強まるだろう。そこで主要国立大学の立地偏差値を独断で算出しようと思う。
立地偏差値の算出方法
立地偏差値を求めるにあたり、前提となる考えは2つある。
1つ目は、大学が所在する都道府県自体の都会度・魅力度である。簡単に言えば、高校生がその都道府県に住みたいかどうかである。東京や大阪などの大都市では高くなり秋田や鳥取などは言うまでもない。但し、大都市に隣接する都道府県(埼玉、千葉、兵庫、奈良等)は容易に東京や大阪に赴く事が可能なので、評価は高めに設定する。
2つ目は、大学そのものの利便性である。都会で有っても、最寄り駅からの距離が遠い大学も有れば田舎でも駅チカ・都市の中心部にある大学もあり、日常生活を送る上では、こちらも考慮に入れる必要がある。
これら2つの要素を掛け合わせて、最終的な立地偏差値を求めていく。
①都道府県の都会度・魅力度
各メディアや不動産会社が毎年「住みたい街ランキング」や「都道府県都会度ランキング」を公表している。今回はそれらを参照しながら、前述した大都市に近い都道府県や人口の多い都道府県に加点を加えることで、都道府県毎の立地偏差値(ここでは点数)を作っていく。
似たものに「都道府県魅力度ランキング」なるものもあるが、どちらかというと観光で行きたい場所に焦点を当てていると思われるので、今回はこちらをもとに作成する。
ランク(偏差値) | 都道府県 |
S級(偏差値70) | 東京 |
A級(偏差値65) | 大阪 神奈川 |
B級(偏差値60) | 北海道、埼玉、千葉、愛知、兵庫、京都、福岡 |
C級(偏差値55) | 宮城、奈良、滋賀、広島 |
D級(偏差値50) | 新潟、茨城、静岡、岐阜、岡山、熊本 |
E級(偏差値45) | 福島、群馬、栃木、長野、三重、鹿児島、沖縄 |
F級(偏差値40) | その他 |
正直、E級とF級の区別は付けづらかったので、人口をもとにランクを付けさせてもらった。(沖縄は人口の観点ではF級並だが県としての魅力が高いのでE級に入れた)
②大学毎の利便性
続いて、大学そのものの立地を議論する。これは、アクセスの良さ(最寄り駅からの距離、バスの本数等)や周辺の都会度などから総合的に判断する。注意点としては、大学の周辺のみが評価の対象で都道府県そのものは評価に加えていない。尚、複数のキャンパスがある大学が多数では有るが、今回はメインキャンパスで比較する。(直接行ったことのある大学は少ないので、あくまで主観にはなる)
ランク(偏差値) | 大学 |
S級(偏差値70) | 北大、東大、千葉大、大阪公立大 |
A級(偏差値65) | 東北大、横浜国立大、名古屋大、京都大、神戸大、岡山大、熊本大 |
B級(偏差値60) | 宇都宮大、埼玉大、山梨大、三重大、大阪大、香川大、愛媛大、鹿児島大 |
C級(偏差値55) | 弘前大、岩手大、新潟大、福井大、岐阜大、静岡大、滋賀大、鳥取大、徳島大、九州大、長崎大 |
D級(偏差値50) | 茨城大、筑波大、信州大、和歌山大、広島大、佐賀大、大分大 |
E級(偏差値45) | 秋田大、山形大、福島大、群馬大、富山大、金沢大、島根大、山口大、高知大、宮崎大、琉球大 |
結論
①②を用いて、各大学の立地偏差値をまとめると、(偏差値は①②を平均して算出する)
偏差値 | 大学 |
偏差値70 | 東大 |
偏差値67.5 | 大阪公立大 |
偏差値65 | 北大、千葉大、横浜国立大 |
偏差値62.5 | 名古屋大、大阪大、神戸大、京都大 |
偏差値60 | 東北大、埼玉大 |
偏差値57.5 | 九州大、岡山大、熊本大 |
偏差値55 | 滋賀大 |
偏差値52.5 | 宇都宮大、三重大、広島大、新潟大、静岡大、岐阜大、鹿児島大 |
偏差値50 | 茨城大、筑波大、山梨大、香川大 |
偏差値47.5 | 弘前大、岩手大、信州大、福井大、鳥取大、徳島大、長崎大 |
偏差値45 | 福井大、群馬大、和歌山大、佐賀大、大分大、琉球大 |
偏差値42.5 | 秋田大、山形大、福島大、富山大、金沢大、島根大、山口大、高知大、宮崎大 |
当たり前ではあるが、これは大学の序列を表すものではないが、近年立地を重視する受験生が増加傾向であると考えると、少なくとも同等レベルの大学規模・歴史を有する大学間の難易度差は説明出来るように思う。
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