はじめに
○○TVや△△TVなどのコメント欄をみても、SNSを通じて現在の中高生は大学の難易度については正しい理解をしてきたのではないかと筆者は考えている。一方で、5チャンネルやヤフー知恵袋では古い価値観のまま大学の難易度について語る人も数多くおり、現実とのギャップが大きくなってきている。今回は、筆者の主観的に、過去~現在~未来に至るまでの大学の難易度について色々な角度から検証をしたいと思う。
結論
本ブログは長く議論することになるので、結論から先に書こうと思う。ここでいう序列は、一般入試で入学する学生の学力の序列である。つまり、基本は大学の専願難易度を基準にしているが上位大学の滑り止めで入学する層やW合格進学率などのデータも取り入れ序列を決めている。又、将来の序列というのは具体的に何年後という話ではなくこの序列に近づいていくのではないかという程度のものである。
文系の序列(現在) | 文系の序列(将来) | ||
S級 | 京都 一橋 | S級 | 一橋 京都 早慶上位 |
S級- | 大阪 東京外国語 早慶上位 | S級- | 大阪 東京外国語 早慶中位 国際教養 国際基督教 |
A級+ | 東北 名古屋 神戸 国際教養 北海道 九州 国際基督教 早慶中位 | A級+ | 東北 名古屋 神戸 北海道 九州 横浜国立 筑波 早慶下位 |
A級 | 筑波 横浜国立 お茶の水女子 千葉 大阪公立 上智 早慶下位 | A級 | 千葉 大阪公立 お茶の水女子 東京都立 上智 |
A級- | 広島 岡山 東京都立 金沢 明治 同志社 | A級- | 明治 立教 同志社 青山学院 中央 法政 |
B級+ | 埼玉 滋賀 立教 青山学院 静岡 信州 中央 法政 | B級+ | 埼玉 滋賀 中央 法政 兵庫県立 学習院 |
B級 | 新潟 岐阜 三重 兵庫県立 学習院 立命館 関西学院 関西 | B級 | 静岡 信州 立命館 関西学院 関西 成城 成蹊 明治学院 |
B級- | 成城 成蹊 明治学院 | B級- | 武蔵 國學院 近畿 |
理系の序列(現在) | 理系の序列(将来) | ||
S級+ | 東京 | S級+ | 東京 |
S級 | 京都 東京科学 | S級 | 京都 東京科学 東北 |
S級- | 早慶(理工) 大阪 | S級- | 大阪 早慶(理工) |
A級+ | 東北 名古屋 神戸 北海道 九州 | A級+ | 筑波 名古屋 九州 早慶(他理系) 北海道 神戸 横浜国立 千葉 |
A級 | 筑波 横浜国立 お茶の水女子 千葉 東京理科 上智 早慶(他理系) | A級 | 大阪公立 東京農工 電気通信 東京都立 東京理科 お茶の水女子 |
A級- | 大阪公立 東京農工 電気通信 東京都立 名古屋工業 京都工芸繊維 | A級- | 名古屋工業 京都工芸繊維 明治 横浜市立 同志社 |
B級+ | 広島 岡山 明治 同志社 豊田工業 金沢 | B級+ | 広島 岡山 立教 法政 |
B級 | 横浜市立 九州工業 奈良女子 中央 青山学院 立教 法政 立命館 | B級 | 奈良女子 九州工業 青山学院 立命館 芝浦工業 |
B級- | 埼玉 熊本 関西学院 関西 芝浦工業 | B級- | 熊本 関西学院 関西 |
大学の難易度を比較する上で重要なのは、受験科目数の違いを考慮に入れることである。某TVでは私立文系の偏差値を基準として国公立大学及び理系にはそれぞれ一律に+5を加算して補正しているが、個人的にはなかなか妥当なのではないかと考えている。(補正後の旧帝大と早慶の偏差値が近似するため)但し、国公立大学には共通テスト三科目で受けられる大学や二次試験一科目で受けられる大学も存在し厳 密にはさらに細かく分類する必要がある。
また、東進が毎年受験生に発表するW合格進学率のデータも有用である。よく考えてみて欲しいのだ が、受験生は何を基準に進学先を決めるのだろうか?就職や立地などの要素はもちろんあるが、偏差値主義の日本においては入試難易度、つまり合格するのが大変だった大学に入学したくなるのが普通の感覚なのではないか?ただ、私立大学同士を比較する際はそれで問題ないが、国公立大学と私立大学を比較する際には注意が必要である。
→→W合格進学率のデータについて(参照)
さらに、一般入学者の学力を測る上で学力上位層の存在も考慮に入れる必要がある。例えば、早慶理工の進学者の大半は東大理系落ちであり、そこに京大や東京科学大が少々混ざる程度である。よって入学時点での学生の学力は非常に高く、地方旧帝大最高峰である大阪大学をも凌ぐと推察できる。こういった議論をすると、例えば「地方国公立大学には、東大や京大に余裕で合格出来るが家庭の事情で地元に残らざる得ない受験生が多数存在する」と主張する輩もいるがこの主張の妥当性についても考える必要がある。
→→地方国公立大学の成績上位者(参照)
大学の難易度を決める要因
まず、大学の難易度は何によって決まるのか。一般的に考えられる要因は次の5つである。
①大学の格式 ②学費 ③就職実績 ④立地 ⑤研究力
①の大学の格式とは、所謂旧帝大や早慶など伝統やブランドが確立している大学群を指し、③の就職実績は有名企業就職率だけではなく、公務員・教員への就職や士業(医師や看護師等)、大学院進学率も含まれる。④の立地は大都市圏(首都圏、大阪圏)に位置していることや最寄り駅へのアクセスの良さが含まれる。後述するが、近年は立地を気にする受験生が増加しており首都圏の大学の人気に拍車がかかっている。(正確には首都圏の高校生が地方に出たがらない)よって将来的な大学の難易度を予測する上でその都道府県の人口動態を把握することは必須である。
①大学の格式
大学の格式を理解する上で重要なのは、大学群の知識である。大学群とは歴史的な大学の設立経緯や同難易度の大学をまとめたものであり、SNSを中心に現在も改組が続けられている。ここでは、各大学群の格付けを主観的に行ってみる。おおざっぱにみると現在では、
旧帝大=早慶>地方国公立上位=上智・東京理科>地方国公立中位=MARCH・関関同立>その他
と認識される事が多いのではないかと思う。しかし、これ以外にも特に国立大学群は多く存在し、大学の難易度に影響を与えるであろうその他大学群について紹介する。
①指定国立大学(東大、京大、阪大、東北大、名大、九大、筑波大、東科大、一橋大)
②旧文理大(筑波大、広島大)
③旧六医大(千葉大、新潟大、金沢大、岡山大、長崎大、熊本大)
④TOCKY(筑波大、お茶女、千葉大、神戸大、横浜国立大)
→詳しく知りたい方はこちら(作成中)
これら全てを覚える必要はないが、概ねTOCKYや金岡千広は地方国公立上位、5sは地方国公立中位と考えて問題ない。また、同じ大学群の中にも列記とした序列が存在し、例えば旧三商大の1つである一橋大は別格であり、その難易度は早慶を遙かに凌駕しむしろ文系においては京都大学と日本2位の座を争うほどである。
②学費
学費については、特に述べることは無いが国公立と私立、理系と文系についてはそれなりに差がある。大学毎に差はあるが概ね国公立大学は年50~60万程度、私立理系(医薬除く)は年150万前後、私立文系は年100万程度である。学費の差が影響を及ぼすのは同ランク帯の大学に複数合格したときである。(W合格進学率)特に、同程度の国公立大学と私立大学に合格した際、学費が決め手となり進学先を決める受験生も多いだろう。もちろん家庭の金銭事情によってはどうしても国公立大学に進学して欲しいという親御さんも多いだろうが、保証人を必要としない奨学金で十分賄える範囲なので受験生には学費を気にしすぎずに行きたい大学に進学して欲しいと思う。→詳しく知りたい方はこちら(作成中)
③就職実績
志望大学を選ぶ際、その大学の卒業生がどの会社に就職してどのくらい稼いでいるのは気になるところ。日本の学歴について詳しく議論されている某サイトがあるためここでは深く議論しないが、難易度と比例するわけではないことに注意する必要がある。国公立大学は公務員や士業への就職を前提とした学部が多数存在するため一見すると就職率が低そうにみえるが、補正をかけることでやや改善される。民間大手企業に就職する際、イメージとしてもっておきたいのは、
東京一科=早慶(上位)
その他旧帝大+神戸=早慶(中下位)
地方上位国公立=MARCH・関関同立
ご覧の通り、現在の入学難易度とは乖離があるようにみえるが先人達が築きあげてきた実績の賜物なので、言い方を変えると未来永劫この序列では無いことである。特に2025年現在、各大企業の幹部達はおそらく1990年前後に大学を卒業しているはずだ。この時期は、バブル経済といわれる金余りで大学生達がブランド品を身につけたり、外車に乗ったりしてウハウハしていた頃だ。(筆者は生まれても無いのだが笑) この時期には、旧帝大・神戸大蹴りMARCHや東大蹴り早慶さえ一定数いたと言われ、今以上に私立大学の地位が高かったと言える。よって企業の重役達や人事はそのときの価値観のまま大学を選別している可能性も否定できず、就職においては私立大学優位になるのは仕方ないことなのかもしれない。しかしその世代の人達も、後10年ほどで定年を迎えそれ以後の大学別の就職事情は分からない。さらに、集団より個人が重視される現代においてはこういった表面的な情報に惑わされず、自身の将来の夢に近づけそうな環境がある大学を慎重に選ぶべきである。(少なくとも偏差値の高い大学の方が優秀な人材は多いのだか)
④立地
本ブログのメインテーマである。立地が大学の難易度に与える影響は極めて大きい。例えば、旧文理大の筑波大と広島大、旧六医大の千葉大と岡山大を比較すると以下のようになる。 (パスナビから国立前期試験の偏差値)※科目数の違いによる偏差値補正は行っていない。
筑波大学(A) | 広島大学(B) | 差(A-B) | |
医学系 | 65 | 65 | 0 |
理工系 | 55~60 | 50~52.5 | 5~7.5 |
文学系 | 60~65 | 57.5 | 2.5~7.5 |
法・経済系 | 60~65 | 55~57.5 | 5~7.5 |
千葉大学(C) | 岡山大学(D) | 差(C-D) | |
医学系 | 67.5 | 67.5 | 0 |
理工系 | 52.5~60 | 50~52.5 | 2.5~7.5 |
文学系 | 57.5~60 | 55 | 2.5~5 |
法・経済系 | 57.5 | 55 | 2.5 |
比較対象としてこれらの大学を採用したのは、立地以外に明確な違いが無いからである。大学の歴史や伝統、研究力(後述)、規模は似たりよったりである。よって、偏差値差はほぼ立地の影響とみることも出来る。筑波大や千葉大は、東京から20~30㎞ほど離れるものの都心から1時間あれば通うことが出来、上京を目指す高校生や東京都民からも進学先の候補として挙がりやすい。一方、広島大や岡山大通学するのは通学するのはほぼ不可能なため、結果的に地元の高校生や阪大や九大や神大に届かなかった一部の層がメインである(某TVでも話されている)。したがって、立地による受験者数の差が偏差値差に反映されているのだと考えられる。(言わずもがな、東京一科に合格出来る層はそちらに進学するので最上位層に関してはあまり差がないとは思うが)最初に示した、将来の大学の序列は厚生労働省が発表している将来の人口推移を参照しており、各大学毎に独断で査定した立地偏差値をもとにしている。→詳しく知りたい方はこちら(作成中)
⑤研究力
研究力といっても、各大学毎に強みとする分野は異なる。なので、一口に研究力という言葉に括って大学・学部は評価出来ないが総合的な大学の研究力は科研費の配分額で順位付けすることが出来る。2024年度のランキングは以下に示すとおりである。
順位 | 大学 | 科研費(億) |
1 | 東京大学 | 205.9 |
2 | 京都大学 | 145.0 |
3 | 大阪大学 | 102.1 |
4 | 東北大学 | 97.8 |
5 | 名古屋大学 | 74.1 |
6 | 九州大学 | 68.6 |
7 | 北海道大学 | 62.9 |
8 | 東京工業大学(現東京科学大学) | 45.2 |
9 | 筑波大学 | 43.6 |
10 | 慶應義塾大学 | 36.5 |
11 | 神戸大学 | 30.5 |
12 | 広島大学 | 29.7 |
13 | 岡山大学 | 28.6 |
14 | 早稲田大学 | 28.0 |
15 | 千葉大学 | 26.9 |
16 | 金沢大学 | 22.6 |
17 | 大阪公立大学 | 21.7 |
18 | 東京医科歯科大学(現東京科学大学) | 19.4 |
19 | 熊本大学 | 18.3 |
20 | 新潟大学 | 17.5 |
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