河合塾偏差値60までは努力で誰でもたどり着けると筆者は考えている。教科書の内容+1冊の問題集の勉強で可能だからだ。それでも成績が上がらない人は、①教科書の内容を理解するとはどういうことなのか、②パターンで覚えた解法(暗記)を何故そこで使えるのかを自問自答しながら勉強に取り組むと良いだろう。また、自分で解決するより他人に聞いた方が早いこともあるので学校・塾の先生や友達などを有効に活用していこう。
偏差値50~55
偏差値50~55程度の生徒に多いのは、習ったことがそのまま出題されれば解けるものの、少し目先を変えられると弱いというタイプ。あるいは、苦手な問題や単元で大きく失点してしまうタイプである。
解説されたものをそのまま覚えようとしていたり、意味を良く理解しないまま「やり方」だけを身につけようとしていたりすると、このような状態に陥りやすくなる。言われれば分かるものの、テストになると点が取れない。それは、「教えてもらったこと」の復習はしていても、「自分の手を動かして考える」ということが不足しているからではなかろうか。類題演習が足りなかったり、「なぜそうなるか」「なぜそうするか」ということを自分で説明出来ないままにしていたりして、「パターン化」が出来ていないのではないだろうか。
1つのパターンを身につけるには、その問題をどうすれば解けるのか、自分で説明出来るようにすることがポイントだ。そして、類題を数多く解きながら、そのパターンの問題の共通点をそれぞれ見いだし慣れていくことが重要である。
また、苦手な単元・範囲があるのであれば、少しでも早く克服していこう。この場合、自分で悩むよりは、典型的な問題の解法やそれに必要な知識を先生に習ってしまったほうがよい。それをもう一度自分で復習し、納得できるまで、スラスラ出来るまで反復練習をしてさらに課題をこなす。その繰り返しを続けていけばこのレベルから抜け出すことが出来る。
このレベルの生徒は、個々の設問に対する具体的な質問が多い。教わった内容や、問題集の解答に書いてある内容が理解出来ないといった質問である。それでも、道筋を示せばそれをたどることは出来る。過去にやった内容は覚えていてもそれが目の前でどう活かせるのかには自分で気づかないのだろう。指導する側からすれば全く同じにみえる問題であっても、生徒からは違って見えてしまうのである。その断片化した知識を身につけるのにパターン化は役に立つ。基本パターンととその類題を繰り返し、どういうときにそのパターンが使えるのかに注目しながらその使い分けを学んで欲しい。
偏差値55~60
偏差値55~60の生徒に多いのは、基礎的なパターン問題は大抵出来るし、根拠を踏まえて考える癖も身についているものの、まだまだ知識が断片化していたり、抜け漏れがあったりするタイプである。自分が「出来ること」「出来ないこと」の区別が出来ない生徒も多い。その区別が出来ていないから、復習すべきかどうかも「やってみなければわからない」ということになり、学習効率が悪い。
このため、典型的なパターン問題を解くことはできても、いくつかのパターンが組み合わされた問題など、一見してどのパターンなのかを見抜きにくい問題ですぐにつまづく。そのパターンは何がポイントなのか。どういうことなのか。どうすれば解けるのか。あるいは、いつ、どのように習ったパターンなのか。そういった知識を頭の中で整理して体系化出来ていないと、上手く知識を使いこなせない。
ここから抜け出すためにまずやるべきことは、それぞれの科目について「1冊のテキスト・問題集を完璧にする」ということだ。その問題集に載っているあらゆるパターン問題をすべて自分で説明出来るようになるまで、何度でも繰り返し復習する必要がある。そのテキストの目次構成や、何がどこに書いてあるのかが全て頭に入っているぐらいで丁度いい。
このようにして全範囲を網羅的に学習し、その知識を体系化させることがより高いレベルを目指すためのポイントだ。自分はどういった分野が得意でどういった分野が苦手なのかといったことも冷静に見極めておこう。
偏差値60程度のレベルまでであれば、誰でも努力次第で到達できる。分からないことは素直に教わり、それを反復して身につけていけば良い。素質や才能ではなく、努力と挑戦をし続けているかどうかが重要である。
これぐらいのレベルの生徒から、「どうやって解くのか」ではなく「なぜそうするのか」という時間が増えてくる。それは、「言われたことを覚える」ための勉強ではなく「次に出来るようにする」ための勉強を心掛けているからだろう。ただし、このレベルの生徒はまだ抽象論・一般論に弱い。一つ一つの基本的な知識・パターンについて理解して使えていても、①「AならばBである」 ②「BならばCである」 といった2つの事柄から、③「AならばCである」 を結びつけて考える論理的思考が出来ずに苦労している。①と②のそれぞれのパターンとして扱うことは出来ても、③をパターンとしては認識していないからだ。さらにこれが、①「AならばBである」 ②「BならばCである」 ③「CならばDである」 といった多段階の事柄から、 ④「AならばDである」と結びつけて考えるとなると、さらにその難易度は高くなる。もちろん、1つひとつの知識・パターンの使い方にも習熟していないといけない。とはいえ、この組み合わせ方自体にもさまざまなパターンがある。これ自体を1つの大きなパターンとして扱えるようになれば強い。標準的な問題集に載っている問題を完璧にするだけでも標準的な入試問題はかなり解けるようになる。
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